ゼロから小説同人誌を必ずつくる⑤パソコン+ネット環境があり、表紙や事務頁をちょっと凝りたい場合
こんにちは。
猫宮ゆりです。
小説同人誌のつくりかた。
わからないし難しそうだし、
そもそもつくったって別に……、
でも、ほんとは、つくってみたい。
そう考えているかたに、「ゼロから」小説同人誌を
つくる方法、やりかた、手順を、わたしのわかる範囲で
お伝えしたい。
それが、このブログとサイトのいちばんの骨子です。
何がなくても、何がわからなくても、必ず小説同人誌を
つくることができる方法を、ひとつひとつお話して参ります。
さて。
今回は、ケース⑤パソコン+ネット環境があり、表紙や事務ページを
ちょっと凝りたい場合
です。
「小説同人誌をつくりたい」ということは、多くの場合、
きっと小説での表現が好きで、それをかたちにしたいから、
なのだと思います。
わたしもそうです。
だから、力をこめる比重、心血を注ぐ比重は当然、その
「小説本文」にこそあります。
そこで、自分の表現が達成できれば、表したいことを言葉に
できれば、体裁なんて気にならない、
そうであるかたもおられると思います。
わたしも、どちらかというとそうです。
でも、自分で好きな装丁をかたちにできることもまた、
同人誌の楽しさ。
個人的には、本の装丁をあれこれ試すようになってから、もっと
創作への思いが強まり、表現したいものがますます増えました。
でも。
装丁やデザインもそれこそ、深めていったら底なしの世界です。
どんどん、極めたくなるし、うまくなりたくなるし、
あんなのもこんなのもやってみたい、やりかたをおぼえたい、
のめりこんだらきりがない世界です。
(それが楽しいのですけども)
時間は有限、掘り下げたいことはたくさん、となると、
追いつきません。
そこで、ここでは、
小説同人誌のための、あくまで手軽に気軽に、表紙や事務ページを
ちょちょっと凝るやりかたを話したいな、と思います。
☆気楽にチャレンジ、表紙・事務ページに凝ってみる方法
気楽に、デザインの幅を広げる! ということで、おすすめはフリーソフトの
インストールです。
わたしはフリーソフトではファイアアルパカとメディバンペイントを
使っていますが、これらはとっても高機能。
同人誌の表紙や事務ページの作成に大活躍してくれます。
この二つは、オリジナルのファイル形式であるmdpが共通なので、
つくったデータは両方で編集ができます。
カラー原稿にはファイアアルパカ、モノクロページにはメディバンペイントが
より便利で、それぞれフリーブラシなどもたくさん配布されています。
ただ、カラー原稿をつくる際は、RGBモードしか選択できずCMYKモードには
できないので、表紙をどうしてもCMYKで入稿したい場合は不便です。
モノクロ原稿は、グレースケールとモノクロ二値のいずれも選択可能です。
(ただ、メディバンでグレースケールで保存→PSDにしてPhotoshopで開くと
RGBになっている場合があるので、確認を密にすること)
ファイアアルパカ
フリー ペイントツール (Mac/Win 両対応) FireAlpaca [ ファイア アルパカ ]
メディバンペイント
そんなフリーソフトで表紙データを作成する場合、初心者でも簡単に
できるのは
・フリーの写真素材などを使う
・フリーのテクスチャ素材などを使う
・タイトルのフォントに凝って文字だけでインパクトのある表紙にする
など、です。
その辺りは、とても参考になる情報がたくさんネット上に公開されて
いるので、いろいろ検索して学んでみると面白いです。
特に、
ここから連続して綴られているお話は、ほんとうにどれも珠玉の情報で、
そして初心者でも参考にできて少しずつ取り入れられるものが多いです。
わたしも、すべての記事を何度も拝読しました。
また、Twitterで印刷所ホープツーワンさんのアカウント、ほおぷちゃんが
たくさんの見本誌表紙をアップしていて、すごく巧みで素敵な装丁の
同人誌をたくさん拝見することができます。
それらを見て目を磨き、フリーソフトを駆使して自分のアイディアを研鑽して
ゆけば、デザインはだんだん上達してできることも増えてゆきます。
フリーの写真素材は
ここが使いやすくデータ量も豊富です。
他にも素敵なフリー写真サイトはいっぱいあるのですが、写真探しに
夢中になってしまうと原稿も進みませんので、一か所に絞って重点的に
探したほうがわたしは良いと思います。
飾り枠やフレームは
デザイン枠、飾り罫素材専門サイト「フレームデザイン」frames-design.com
超有名ですがここはどれも素敵ですね。
モチーフやワンポイントには
ここのものが高解像度でとても繊細です。
また、年齢制限のある本の場合、表紙にR18マークを入れる必要が
ありますが、それらは
こちらにたくさん網羅されています。
表紙デザインに合ったマークを入れられると、全体の印象も
秀でたものになります。
また、タイトルのフォントや大きさは非常に重要です。
優れたフォントを購入したり、フリーフォントで良質なものを
探してダウンロードしたりするとデザインが楽しくなります。
フリーフォントについては、
こちらがとても参考になります。
また、メディバンペイントは、フォントワークス社製のフォント
など多くのフォントを無料で商用利用できる特色も備えています。
これを使いこなすだけでも、かなりデザインに幅が出ると思います。
また、事務ページなどの装飾やレイアウトも、メディバンを使うと
さまざまな雰囲気のものを作成できます。
トーン素材がたくさんあるので、それらをページに貼るだけでも
いいですし、
トーンを組み合わせたり、レベル補正機能で色合いの濃淡を変えて
みたり、ガウスぼかしをかけるだけでも、表現がすごく多彩に
なります。
せっかくなので、一例として……架空の表紙と中扉・奥付の事務ページを
いつもの自分の感じで簡単につくってみました。
表紙(表1表4)
この表紙は、ここでのサンプル用に架空のタイトルを決めて、
そのイメージに合うフリー写真を前述の足成さんで見つけて、
メディバンペイントで開いて表紙のテンプレートに貼りつけます
(モードはRGBのまま、350dpiで作成開始)。
表題の文字はメディバンのクラウドフォントからマティスを選択し、
写真の中の濃い色の部分からスポイトで色を取って文字色に。
ふちを白色で4pxつけます。
背表紙の文字と表4の文字はふちとサイズを適宜に小さくします。
表4のところは、花と重なってそのままだと視認性が悪いので、
文字を置く部分をなんとなく楕円の選択ツールで囲み、
選択した箇所だけレベル補正+ガウスぼかしで薄めてぼやかしています。
たったそれだけ、写真素材がすばらしいのであっという間に加工は
済んでしまいます。
次は、中扉。
こちらは、メディバンペイントでグレースケール600dpiで作成、
メディバンの桜のトーンを貼ったあと、少しレベル補正で薄くしています。
ノンブルは入っていません。
こちらは奥付。
中扉と同様にメディバンペイントで。
中扉と同じ桜のトーンを、貼ってから左右反転で
趣を変え、個人的に暗めの話が好きなので、暗い話と仮定して
最終頁に余韻が残ったらいいなあと思い(?)レベル補正で全体を
不穏な感じに薄暗くしました。
適当にやっちゃいましたが、印刷に出すなら、背景のみ
もうちょっと薄いほうがベターですね。
文字フォントは中扉と同じくマティスです。
こちらもノンブルは入っていません。
こんな感じなら、事務ページは5分もあればできます。
物語の統一したイメージや、全体通して漂わせたい雰囲気を
出せれば物語そのものの魅力も増すのではないでしょうか。
終わりにおまけですが、
先ほどの表紙を、素材は同じでPhotoshopで表紙にすると
こんな感じになりました。
フォントはこちらは平成明朝です。
フォントにはレイヤー効果のうちサテン・光彩などをつけています。
文字色の取りかたはメディバンの場合と同じです。
こちらでは、あとは花びらの色をスポイトで取り、その色で
べた塗りグラデーションレイヤーをつくり、
そこに表4側の文字を乗せています。ただそれだけ。
(※あ、あとこれ、背表紙の文字がずれています。。このまま入稿したら×です。)
このグラデーションのべた塗りレイヤーをもう少し広くとると、帯っぽくも
できますね。
これだけ色を乗せていると、表紙紙は特殊紙にするともったいないので、
シンプルにアートポストやハイマッキンレーポストにして、マットPPを
かけたら良さそうです。
小説本文に力を入れつつ、手軽にできる範囲で表紙や事務ページにも
凝り、全体の世界観を高める。
それができると、ほんとうに楽しいです。
そのための、細かい方法やアイディアなど、また折に触れて
更新して参りますね。