ゼロからはじめる小説同人誌 の、猫の巻。

「虎の巻(「芸事などが上達する秘訣を記した書」)」には及ばないけど、でも、ほんとのことだけ記していくよ! 小説同人誌にまつわるそんな心意気を、もりもりこめたブログです。

会話文が面白いと、読み手はもっと楽しめる

 

こんにちは。

猫宮ゆりです。

 

小説技術を掘り下げるこのカテゴリー、今回は会話文に関して。

それと、ちょっとだけわたし自身の話を。

(このカテゴリー、自分のことは棚に上げてんじゃねーのん???

って感じかと思うので(;^ω^)。)

 

同人活動としての小説作成は、本腰を入れて始めたのは2008年から

ですが、

ものごころついた頃から文章を書くことが好きでした。

17歳から20代前半までに、小説とエッセイと感想文でそれぞれ受賞経験が

あります。

現在は、複数の事業を持つ自営業で、その一環でフリーのライティング業も

お仕事を受注しております。

「書くこと」は長いこと、「仕事」でもあります。

同人のほうでは、二次創作の小説が活動の中心です。

そんな感じなので、仕事も同人もほぼひたすら、文章をつくり続けています。

(それが、幸せです。)

 

まったくもって、自慢になるような経歴ではないのですが

(賞はとるだけならだれでもとれますので……よく言われていること

ですが、そのあとが正念場です)、

これまでやってきたことは何ひとつ無駄にはなっていないなあ……とは、

よく、思います。

この話は、以上で終わりです(/・ω・)/

 

 

 

本題ですが、会話文。

ほんっとうに、これがつまらないと、読み手の「その先を読み進めたい」という

気持ちが削られていきます。

 

でも、会話文を真に面白くするのは、プロでも難しいこと。

以前ある大きな賞をダブル受賞した小説は、その会話のうまさが非常に

高い評価に繋がった、という例もあるほどです。

 

会話文がなぜそこまで難しいかといえば、

「紙の上に起こされた文章で、肉声の揺らぎや声色を再生させなければならない」

からでしょう。

 

作りこまれすぎていても興ざめだし、かといって小説は読みものですから、

その台詞の意味がちゃんと読み手に認識されなければそれこそ意味を為さない。

 

わたしが読んでいて冷めるのは、

「こんなに人間て理路整然としゃべれるもんかなあ」

と感じるところです。

 

もちろん、キャラクターづけで、

「常に敬語で淡々と話す」みたいな人物の場合、それが駄目だということでは

ないのですがそれにしたって、生身の人間なら少しは言いよどんだり、

どう言うべきか迷ったり、口ごもることもあるでしょう。

 

それが全く感じられないと、

「ああ、紙の中にしかいない二次元のキャラなんだなあ……」と

寂しくなってしまいます。

 

わたしなど、しゃべるのは決して得手ではないので、実際にしゃべったら

「えっと、あのさ、いやあ、そうだよねーーん?っあ、そうそう!」

とかです(;^ω^)テンションばかり高くて挙動不審……。

 

でも、人間そんなもんではないでしょうか。

クールで怜悧なキャラが、時には、へっ?となったり、……いやそうじゃなくて

……とうまく言えなかったりとか、そういう面も魅力になります。

 

もちろん小説ですから、リアルさを追求するあまりにそんなんばっかり

やっていたらいつまで経っても話が進みません。

でもそんなふうに、あえて本筋とは関係ない余剰を挟むことで、

実際にしゃべっているのに近い揺らぎを表すことができます。

 

人間の心境や感情は、常に移ろいゆくものです。

だから言葉も揺れますし、

意思や感覚がこぼれそうに宿った声の時も、反対にそれらを排斥しようと

制している声の時もあります。

その揺れが絶妙に表れている会話文が、「うまい会話」なのだと思います。

 

いま、目の前で、この人はほんとうにしゃべってるんだ。

読み手がそう感じる会話文。

生きた会話、立体的な会話、肉声で再生される会話。

息のこもりも、言いあぐねて掠れた具合も、すべて表現された会話文。

 

そうした中身のある会話文を読めると、読んだ側は読み手冥利につきるというか、

その作品も作者も、もっともっと大好きになりますね。

「この作品を読めて良かった!!」という気持ちがゴリゴリと湧いてくるはずです。

 

会話を立体化させたいなら、その台詞を実際に言ってみること。

そうしたら、「あ、こんな言いかたしないよな」とか「芝居がかりすぎだな」とか、

自分でわかります。

音読することで、実際に言った際のリズムや聴こえかたもつかめるので、

より自然な語調とそれに合った返しが見えてきます。

とってつけたような言い回しになることもこれで回避可能です。

 

それに発声してみれば、ぎこちない言葉遣いもなくせます。

よく見かけるのは、くだけた話しかたをする人物なのに台詞の中で

「だからさ、そう言っているだろ」とか

「オレはそこに行っていないって」とか。

 

些細なことですが、こういう点が違和感の元になりやすいです。

 

「だからさ、そう言ってんだろ」

「オレはそんなとこ行ってないって」・「オレがんなとこ行くわきゃねえだろ」

他にもさまざまな表現ができますが、工夫をこらすと人物が特徴を帯びて

浮き上がってきます。

 

こうした話し言葉の遣いかたは、映画やドラマを観ることでも幅が広がりますね。

生身の人間が口にしたときそれがどう響きどう聴こえるか、どう伝わるか、

その感覚を小説に取り入れると、いきいきした文章になります。

 

それらの積み重ねが必ず、リアルで妙味のある会話文を育んでゆくと思います。

 

 

猫宮ゆり

ゼロからはじめる小説同人誌

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