小一時間で、フリーソフトのメディバンペイントのみで小説同人誌の表紙を完成させるメイキング
こんにちは。
猫宮ゆりです。
今回はタイトルまんまですが、
「簡単に、小一時間で、それも使用ソフトはフリーのメディバンペイントのみで、小説同人誌の表紙を作成するメイキング」
です。
同じフリーソフトのファイアアルパカも便利なのですが、表紙作成の際は断然、メディバンがおすすめ。
メディバンはフォントワークス社さんのフォントが使えて、もちろん無料で商用利用可能!ゆえです。
これを活用しない手はありませんね。
では。
こーんな表紙を、つくりたいとします。
これは今回のサンプルのために、わたしがオールメディバンで作成したサンプル表紙なのですが、
この本、つくりたくなりました……(;^ω^)
(余談ですがセツセリもロクセリもセツリルも大好きです……FF6が好きです。)
本当に小一時間でできるので、作成手順を遡ってみていきますね。
使うツールは純粋にPC本体とメディバンペイントだけ。
ペンタブも何も必要なしでできる手順です。
☆メディバンペイントの公式サイト(インストールはこちらから)
まずはメディバンを起動させて、
(クラウドフォントを使用するにはインターネットに接続していないと×なので、立ち上げる前に接続を確認しましょう。
もし途中で切れちゃうと、接続し直しても再ログインしなければクラウドフォントが使用できません)
表紙ということで、暫定的にA5・背幅4mmの本と仮定し、手持ちの中からスタブさんの背幅4㎜用テンプレートを開きます。
これで、RGBの350dpiでA5表紙をつくる段取りが整いました。
そうしたら、簡単に表紙を作成するために、フリー写真を開きます。
今回は、事前にダウンロードしておいたフリー写真を用いました。
写真は
写真素材 足成【フリーフォト、無料写真素材サイト】さんより。
「高解像度の写真を取得する」というリンクからダウンロードします。
開いたら、「全てを選択→コピー」して、
先ほどの、テンプレートに戻って貼り付けます。
貼り付けたら、選択範囲→変形で、テンプレートの塗り足し線にくるまで拡大します。
塗り足しから若干はみ出る分には支障ないですが、足りないと断裁の時にちょっと見てくれが悪くなるので、気持ち塗り足しを越えるくらいの感じでやると良いです。
変形を確定させたら、ここからはどんな順番で作業していってもいいのですが、今回は背表紙部分から着手しました。
写真を貼り付けた上に新規レイヤーを追加して、先に写真の夕景の箇所からスポイトツールで色を取っておきます。
それから、背表紙幅に合わせて、塗りつぶしツールで選択し着色をおこないます。
このとき別口で新たに色を使うと画面内の色数が多くなり、ゴテゴテしたださい印象に陥りやすいので、すでに使われている色の中からセレクトするとまとまった雰囲気が出ます。
そして、背表紙に表題とサークル名を入れます。
文字入れはテキストツールで施しますが、クラウドフォントを使う場合、少し反映に時間を要することがあります。
今回は、クラウドフォントの中からアンチックセザンヌを使用しました。
☆テキストツールを使う際は、印刷用の場合は必ずアンチエイリアシングを解除しておきます。
そして文字色も、写真の中の濃い色の箇所から取ります。
テキストツールのPick Screen Colorで、画面内の色を取れるようになっています。
表題の「あなたと見た最後の朝」そしてサークル名の「黒猫拝殿」を記入したら、帯っぽいデザインをつくっていきます。
いったん、帯の予定部分にかかる背表紙テキストであるサークル名を非表示にして、新規レイヤーを追加します。
そしてまたスポイトツールで写真の色を取り、帯っぽい幅で塗りつぶしツールを使い、選択箇所を着色します。
そして、このレイヤーのブレンドを「通常」から「加算・発光」に変更します。
下のレイヤーの色を透かしつつ、ほどよい感じに発光してくれます。
そして、表4側の発行年月日・サークル名・CP表記記載を入れる手順がまだだったので、先にそれをやります。
時期的に、冬コミ発行想定の発行日で。
画像はズームインしたものです。
ここでは、入れる箇所の色彩を考慮し、文字のフチを7pxと太めにとり、フチの色はまた写真内から取得してつけています。
ここの文字と後述の帯部分アオリ文字は、フォントをIPA明朝にしました。
(IPA明朝はクラウドフォントにも入っていますし、フリーフォントとして入手も可能です)
そして帯部分のテキストも同様に、色を画面内から取りながら入れていきます(メイキングのために考えたものなので、このアオリ文は5秒で出しましたが実際にこうする際は、本文小説からここぞという場面の台詞・表現を抜粋するのが効果的です)。
あっ、文字を入れたら帯部分の幅がもう少し必要だったので、そこを加えています。
二つのアオリ文は、少しだけフチの色を変えて、二者それぞれの言葉である意図をひっそりこめています。
これは試しに、背表紙部分も加算・発光ブレンドをやってみたバージョン。
下の写真が透ける妙味もあり、これはこれで良いと思います。
また、これだと背のところに乗る色が少なくて済むので、折り返し箇所が弱い紙を使う際などには特に有効です。
(際立って折り返しが弱い特殊紙を用いる場合は背に色を使わないことが一番無難ですが)
最後はいよいよ表1側の表題を。
これは帯下部分の色を取って入れました。
少し気だるい夕映えのムードが出たかな、ということで、この表題部分のブレンドをオーバーレイにします。
画像はズームインです。
オーバーレイにしたことで静謐なテイストも感じられ、近い色合いが重なるところの視認性も上がりました。
あとは、細部の調整で完了です。
全体にグリッドをかけて、文字の位置などを揃えます。
これでほぼ完成。
テンプレート開いたのが13時13分、↑ここが14時19分なので、小一時間で表紙完成!といえるのではないでしょうか。
ちなみに、
帯部分のレイヤーを非表示にしてみるとこんな感じ
これもまた、夕闇の印象が強くなって良いですね。
個人的には、年齢制限をかける本にするならこっち、全年齢本でいくなら元データ、でしょうか。
さて。
これを同人誌の表紙として印刷所さんへ入稿する場合、テンプレートに設定されていた中から説明レイヤーを削除したのちラスタライズします。
(Photoshopの「画像を統合」がメディバンの「ラスタライズ」です。こうすると、画像統合前と別のデータとして統合後のデータができます。
メディバンの「全てのレイヤーを統合する」は、元データがそのまま統合データに上書きとなります)
解像度が350dpiであること、カラーモードがRGBになっていることを確認し、全体をズームインして不備がないか確かめたら、PSDにして保存しましょう。
(表紙もPDF入稿の印刷所さんの場合は、フリーソフトで変換したいならGIMPを使います。
メディバンでPSDにして保存したデータをGIMPで開き、別名でエクスポートしてPDF保存を選択します)
最近の印刷所さんはRGBで入稿してもCMYKと遜色なく刷ってくださることが多いですし(印刷所さん側でSRGBに変換してくれます)、
わたしも何度もそうしていますがトラブルはほぼありません。
また表紙の紙は、ことにオンデマンド印刷の場合、カラーコピーっぽさを抑えたいなら特殊紙に印刷がおすすめです。
ただ今回のサンプルのように、全体に色が乗るデータの場合は特殊紙の風合いが目立たず、少しもったいなくもあるので、アートポスト系の紙に刷ってマットPPをかけてもらうなどもベターでしょう。
また帯も、本と別データでつくってちゃんと帯としてとりつけるのも楽しいですよ。
☆終わりに、このデータをPhotoshopでCMYKに変換した場合の見本を。
こうして見る分には、さほど変わらないですね。
ほんとうに、このメイキング、とても楽しかったです。
猫宮ゆり
ゼロからはじめる小説同人誌
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