ゼロからはじめる小説同人誌 の、猫の巻。

「虎の巻(「芸事などが上達する秘訣を記した書」)」には及ばないけど、でも、ほんとのことだけ記していくよ! 小説同人誌にまつわるそんな心意気を、もりもりこめたブログです。

文章を吟味すること。と、それを使い慣らすためには

 

こんにちは。

猫宮ゆりです。

 

小説技術を掘り下げるこのカテゴリー、今回は

「文章を吟味すること」に関して。

 

文章を研ぎ澄ませること、ことに推敲と校正については、

以前にも

推敲と校正のデメリット。 - ゼロからはじめる小説同人誌 の、猫の巻。

この記事などでも取り上げて参りました。

今回は推敲に入る前、文章を築いていく時点での文章吟味の話です。

 

 

「最初に浮かんだ言葉は、捨てます」

これは、国語教育研究家であった大村はまさんの言葉ですが、

わたし個人はそれを10年ほど前に知り、以降、自分の中で心に

留めてきました。

 

文章をつくろうとして最初に出てくる言葉は確かに、

単なる「思いつき」であったり、全く練られていない、熟していない

言葉であることがほとんどです。

だから「捨てる」。

 

いったん却下して、そこから、その言葉で表そうとした部分の核心へ

近づいていく。

そうして、「ああ、これだ」と感じた言葉を見つけて採用して、

文章を編み上げる。

 

よく練られた文章には必ず、その「これだ」という確信、それでなければ

表現し得ない揺るぎなさが灯っています。

「これだ」という感覚のかたちは、人によってさまざまですし、まさに

それこそが「その人らしい表現」の芯なのだと思います。

 

だからこそ、文章をそうやって吟味することは大事。

 

ただ、前出の記事でも触れましたが、小説の場合はこの限りでないところも

ありますね。

 

あまりにくどくどと、全体に渡って細かくこねくり回し過ぎてしまうと、

小説そのものが重たく偏狭な仕上がりになりがちです。

 

小説の場合は匙加減が肝要で、丁寧に吟味やそのあとの推敲を重ねるべき

箇所と、文の勢いを伸ばしてアグレッシブに描写を繰り広げたほうが

生きる箇所とが存在します。

 

また、作者の個性にもよりますね。

疾走感こそが持ち味、小さいことは気にせず臨場感とリアリティ重視で、

多少の行き届いていない部分は読み手が各自で想像してくれ!という

スタンスを貫くほうがいい人もいます。

そういう人が、あれこれ考えて文章をいじくってしまうと、それは

自身最大の魅力を自ら殺す行為に他なりません。

 

それぞれの個性と場面に応じて、吟味の調節をおこなうこと、

自身の持ち味を発揮できる文章の練りかたを見つけること。

 

それが、よりよい文章を築き上げることに繋がります。

 

 

猫宮ゆり

ゼロからはじめる小説同人誌

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