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ゼロからはじめる小説同人誌 の、猫の巻。

「虎の巻(「芸事などが上達する秘訣を記した書」)」には及ばないけど、でも、ほんとのことだけ記していくよ! 小説同人誌にまつわるそんな心意気を、もりもりこめたブログです。

句読点の位置を突き詰めつづける。

小説技術 小説同人誌の本文

 

こんにちは。

猫宮ゆりです。

 

小説技術を掘り下げるこのカテゴリー、今回は

句読点について、です。

 

 

 

わたしのお友だちで、イラストレーターとデザイナーをしている

人がいるのですが、彼女が

「1ミリまで、1ピクセルまで心を砕いてデザインを創っている」

と、語っていたことがありました。

 

ダンサーも、手の指1本1本、爪の先まで神経を向け、

研ぎ澄ませます。

 

では。

文章でいうならばそうした部分は、どこに宿るでしょう。

どこに表れるのでしょう?

 

 

それが、句読点の位置であり、句読点の使いかた、なのです。

 

 

EメールやSNSの普及によって、この句読点を使いこなせない人が

増えました。

なんでもかんでも改行する風潮に変わり、

絵文字や顔文字が句読点の居場所を席巻してしまいましたね。

 

もちろん、メールやSNSが駄目なわけではないし、

絵文字も顔文字も、とても楽しい文化だと感じます。

 

やったー。

より、

やったー(≧▽≦)!

のほうが、断然メールやSNSでは臨場感と感情が伝わって、

見ていても明るい気持ちになれますものね。

 

 

けれど、

文章、ことに小説表現では、句読点の使いかたはものすごく

重要です。

 

全体のセンテンスがどれほど秀逸でも、句読点の使いかたや

位置がいまいちだったらその全部の素敵さが死にます。

 

それに、句読点の位置と使用センスは、最大限にその作者独自の

個性や持ち味を発揮できるポイントでもあります。

ことに一人称で作品をつくる際や会話文は、これの使いかたひとつで

作品の味わいと登場人物の魅力が大幅に変動してきます。

 

「ねえ、話したいことがあるんだけど」

 

「ねえ。話したいことがあるんだけど」

 

「ねえ、話したいこと、あるんだけど」

 

↑たったこれだけでも、それぞれから受ける印象は異なりますよね。

 

 

だからこそ、

「自分らしい句読点の使いかた」

と、

「自分にしては少しイレギュラーな句読点の使いかた」

とを確立させて、どちらも使いこなせるようになると、文章をつくる

ことがもっと面白くなります。

 

 

句読点の位置の決めかたは、

なんといっても、文章を正確に読みやすい位置へ打つ。

まずはこれが基本。

読点は特に、位置ひとつでまったく文脈の解釈が変わってしまう箇所も

存在しますから、これは音読しながら決定すると安心です。

 

それから、

小説は作文や論文とは違うので、読みやすいだけだと味気も色気も乏しく、

退屈な仕上がりを招きます。

そこで、ちょっとひねりのある、パンチの効いたスパイシーな句読点の

箇所も盛りこむわけです。

 

するっと読めない、わずかに引っかかる位置へ句読点を置くことで、

そのシーンの印象が濃くなり、洒脱さや不穏さを出すなど場面の強調を

担ってくれます。

 

また、作者の文章個性にもよりますが、基本的にはひとつのセンテンスは短い

ほど質が良いとされます。

読点は2つか3つまで、4つ以上になる際はいったん句点で切る。

読点が4つ以上の長い文章は相当、意図的につくらないと、

だらだら冗長な印象になります。

 

とはいえ、それもギミックに使えるポイントではあります。

大きな伏線をそこに入れこんでおくとか、大事なキーワードをあえて

そこで出しておけば、あとからその存在をクローズアップする時にそこの

箇所がいい仕掛けとして機能してくれます。

 

それに、句読点の位置は唯一無二の正解というものを持ちませんから、

推敲を繰り返すたび、何度でも手を入れたくなるものです。

逆に、「ここの句読点は絶対にここだ」という、どうあっても

揺るがない位置というのもありますね。

 

いずれにしても、作者がその作品全体の句読点の位置に

納得していて、そのひとつひとつの意味に責任を持てると

いえる場合は例外なく、

その作品は素晴らしいものになっているはずです。

 

 

小さいけれど、それなしには小説が成り立たない句読点。

その存在に感謝しつつ、よりよい使いかたを

織りあげつづけてゆきたい。

そう思います。

 

 

猫宮ゆり

ゼロからはじめる小説同人誌

http://noveldoujin.wixsite.com/novel-doujin