他表現の妙を小説に生かす②絵本・バレエ・歌詞・俳句
猫宮ゆりです。
先日の記事
他表現の妙を小説に生かす①映画や漫画・アニメーション - ゼロからはじめる小説同人誌 の、猫の巻。
の続きです。
ユリお姉>
もっと早く続きの話をしたかったんだけど、
煙突についたつららを取りにいってズザザってすっ転んだり、
低温やけどでハート型の水ぶくれができたり、
祖母の形見のひな人形を出したりしてたら
今日になっちゃったわね!!( ノД`)
んじゃいくわよ!!
まず、絵本?
>
そう。
アタシは幼稚園時代からずっと絵本が好きなんだけど、
絵本を語らずして表現は語れないわね!!アタシの場合!
難しい言葉や言い回しを使わなくても、ややこしい描写を
しなくても、
人の心の琴線へ触れる表現ってできるのね。
絵本の感動って、理屈じゃないものをわかち合うっていうか、
かたちにできないものを伝えられる類のものじゃない?
それってほんとに美しくて、色褪せないし古くもならないし、
押しつけがましくもないし。
小説でも、言葉を費やすより行間からしみ出すような表現が
したい人には、良い絵本は最高のお手本になると思うわ。
確かに、絵本の描写って、すごく心に残るものがあるね。
それから、バレエ?
>
そ。
アタシ、バレエもめちゃめちゃ大好きなんだけど、
バレエって、言語での表現がないでしょ。
すべて、動作や演技、そして、マイムで表すの。
でも言語が使えないってことが決して制限じゃなくて、
ものすごく雄弁なのよ。
そしてね、その演じ方が、すごく役に肉薄していながら
客観的なの。
それが、小説描写にも参考になる。
ある、著名なバレリーナのかたがね、
バレエって、ヒロインが若い娘である作品が多いけど、
自分がその年齢の時には大抵、うまくなんて演じられない。
年を重ねてから、その年頃の娘心の機微をはじめて表現できる
ようになるって意味のことを仰せで、
それは、小説でもそうよね。
空気とか、雰囲気みたいなものは、渦中にいる人のほうが
うまいんだけど(中高生が書いた小説の学校のシーンは、
だいたいすごく上手ね)、
人物の心象や感情とかは、渦中にいると切り離して見ることが
できないから、これは大人が書いたほうが巧みよね。
いったん我がこととしてのみこんで、そしてそれを客観視して
外へと放つ。
そのことを、バレエから学べると思うわ。
なるほどね。
「ロミオとジュリエット」なんてほんとにそうだよね。
で、次は、……歌詞?これは?
>
ねー。
あ。次ね。
歌詞はね、これはもー、ものすごく勉強になるわよ!
あのね。
アタシね、幼少時代、いっつも祖父母の家に
預けられてたんだけど、
そこで、明治生まれの祖父のあぐらの中で、よく
祖父が好きだった音楽を一緒に聴いてたのよ。
ふるーーーーい蓄音機でね、音の調節とかできないから、
これかけたら近所中に響き渡っちゃうでっかい音で、
けど誰も文句なんか言わなくて、ぞろぞろ縁側に集まってきて、
みーんなで音楽を楽しんだもんよ。
その、祖父が持ってたレコードってのが2枚しかなくてさ、
ひとつは「薩摩の女」サブちゃんね。
それが、アタシにとって強烈な原体験ね。
この「岸壁の母」と、あと
「みだれ髪(美空ひばり)」
「北の宿から(都はるみ)」
「愛人(テレサ・テン)」
ちょっと、リンクは貼らないけど、歌詞見てきて!
……どう?この歌詞だけで、どれも、今すぐにでも小説が
創れそうでしょ?
歌詞ってね、こんなに少ない文字数で、とんでもなく
物語を内包してるのよね。
その歌の世界観を濃縮したというより、世界観そのもの。
描写でありながら骨子であり、
揺るぎない表現でありながら歌声と音色の引き立て役にもなる。
こういうものって、そうはないわよ。
「岸壁の母」は1回聴いただけで、晴れの日も雨の日も岸壁へ通う
母の服装や足どりまで想像できるし、泣けてくる。
「越冬つばめ」の出だしなんかもうずるいわよね!!( ノД`)
美しすぎる上に切なすぎる……。
とにかくね、語りたいことは山ほどあるんだけど、
歌詞はこんなふうに、「世界観を凝縮する」ってことを、
ものすごくものすごく示唆してくれるの。
「その世界への引きこみかた」も、教えてくれるわ。
「越冬つばめ」も「愛人」も「みだれ髪」も、
1行め、ひとことめから、完全にその歌の世界へ
引きこむつくりよね。
これは、小説の冒頭にも役立つわよ。
あー、ほんとだ(´;ω;`)
歌詞に思わず泣いてました。
ドライアイ予防にもいいですね……。
さて、そして、最後なんだけど、「俳句」?
>
うんうん。
泣くのは心の安定にもすっごくいいのよ。
んでね、この「俳句」なんだけど、
テレビ番組「プレバト」の、夏井先生の俳句添削のこと。
観たことある?
あれ、すっごいわよ。
「才能ナシ」とか「ど凡人」とかなるやつね?
>
そうそう!
あれ、アタシも最近は観てないんだけど、観てるとすごく
参考になるところがあるわよね。
小説と俳句は全然違うけど、取り入れられるものがいっぱい
ある。
俳句は、単純に使える言葉の数が少ないし、端的でなきゃいけない。
でも、広がりのある表現をしてこそ味が出る。
小説の描写がくどくなり過ぎる人や、説明過多になりがちな人には
特に有益ね。
推敲の時に、どこをどのぐらいいじればいいのか悩みすぎちゃう人にも
いいと思うわ。
あれを観てると、どこがいらない部分でどこが光る部分なのか、
ちゃんと自信持って判断できるようになるから!
なるほど!
いろいろなものの良さや利点を吸収して、自分の創作に生かして
いけるといいですね。
>
ね!
勉強になるものは、そこらへんじゅうに転がってるから、
全部有効活用してきたいわよねっ。
猫宮ゆり
ゼロからはじめる小説同人誌
http://noveldoujin.wixsite.com/novel-doujin